日本製鉄はUSスチールを買収できるのか? 所有ではなく多額の投資で合意?

政治

2023年12月、日本製鉄はアメリカの鉄鋼大手企業US Steelの買収計画を発表しました。しかし、2025年1月にはバイデン前大統領が安全保障への懸念を理由に買収禁止を命じました。日鉄やUSスチールなどは同月6日、買収禁止命令の無効などを求める訴訟をアメリカで提起し、話題となっています。

買収の目的

日本製鉄は、US Steelの買収を通じて、アメリカ国内での市場シェアを拡大し、生産能力を強化することを目指しています。また、技術交流や効率的な生産手法の導入を通じて、両社の競争力を高めることも目的とされています。

日本製鉄とは?

日本製鉄株式会社(Nippon Steel Corporation)は、日本最大の鉄鋼メーカーであり、世界中で高品質な鉄鋼製品を提供しています。日本製鉄は、日本国内外で多くの製造拠点を持ち、多様な製品ラインナップを展開しています。

「日本製鉄」は、もとの「新日鉄住金」です。2019年4月1日にに社名変更しています。

その「新日鉄住金」は、もとは、かつては超一流企業として名高かった「新日本製鉄(略称は、新日鉄、新日鐵、NSC」と「住友金属工業」です。2012年10月に経営統合しています。

日本製鉄は、日本政府と密接な関係を持っています。日本政府は、日本製鉄の成長と国際競争力の強化を支援するため、様々な政策や補助金を提供しています。また、日本製鉄は重要な輸出産業として位置づけられています。

US Steelとは

US Steel(United States Steel Corporation)は、アメリカ最古の鉄鋼メーカーであり、多くの製造拠点を持ち、鉄鋼製品の製造・販売を行っています。US Steelは、アメリカ国内外で広く知られたブランドであり、多くの企業に製品を供給しています。

US Steelは、アメリカ政府と密接な関係を持っています。アメリカ政府は、US Steelの成長と安全保障を確保するため、様々な政策や規制を設けています。また、US Steelもアメリカの重要な輸出産業として位置づけられています。

買収案の詳細

日本製鉄は、US Steelの買収を通じて、アメリカ国内での市場シェアを拡大し、生産能力を強化することを目指しています。具体的な買収金額や条件については、公表されていませんが、多額の投資が必要とされています。

アメリカ政府は、日本製鉄によるUS Steelの買収に対して懸念を示しています。特に、安全保障への影響が大きいとされており、買収が認められるかどうかは、対話と交渉次第となります。

バイデン大統領は買収の禁止を命令

アメリカ政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は買収計画の審査を行っていましたが、全会一致に至りませんでした。そして、判断は当時のバイデン大統領にゆだねられ、2025年1月3日、国家安全保障上の懸念を理由に買収計画に対する禁止命令を発出されました。

日本製鉄とUSスチールはバイデン氏などを相手に、ワシントンの連邦控訴裁判所に訴訟を提起しました。両社は大統領などによる違法な政治的介入だとして、禁止命令を無効とし、CFIUSによる審査のやり直しを求めています。

その根拠としては、バイデン前大統領が選挙での再選を目指すため、買収に反対していた全米鉄鋼労働組合の執行部の支持を取り付ける目的で、CFIUSが正式な審査を開始すらしていない2024年3月に買収を阻止する計画を公に発表したなど、不適切な影響力を行使したと主張しています。

日米の企業がアメリカの前大統領などを相手に訴訟するという極めて異例なケースです。

買収ではなく多額の投資で共存か?

そうした中、トランプ米大統領は2025年2月7日、日本製鉄によるUSスチール買収計画について、日鉄は「USスチールを所有するのでなく、同社に大規模な投資を行うことで合意した」と述べています。

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