金利が上がると債券価格は下がる理由

金融

金利が上がると債券価格はどうなるのでしょうか?

実は、債券の価格と市場金利(利回り)は逆の関係にあります。つまり、金利が上がると債券の価格は下がり、金利が下がると債券の価格は上がります。感覚的にすぐに理解できない人が多いので、債券と金利の関係を理解するために、具体的な例を用いて説明します。

金利と債券の関係

債券とは、企業や政府などが資金を調達するために発行する借用証書です。債券は投資家に対して定期的に利息(クーポン)を支払い、満期時に元本を返済します。

例えば、額面100万円、利率5%の10年満期の債券を考えてみましょう。

金利が変わらない場合

現在の市場金利も5%であれば、この債券は額面どおりの100万円で取引されます。投資家は毎年5万円の利息を受け取り、10年後に元本の100万円を受け取ります。

金利が上昇した場合

市場金利が6%に上昇したとします。この場合、同じ5%の利息を支払う債券の魅力は減少します。新しく発行される債券は6%の利息を支払うため、投資家はそれを好むでしょう。結果として、既存の5%の利息を支払う債券の価格は下がります。

理論的には、現在価値(将来受け取る金銭の価値を現在の金銭で評価した場合の価値)の計算により確認することができます。現在価値を理解するために簡単な例を示すと、仮に市場利率が1%とした場合、1年後の100万円の現在価値は、おおよそ99万円(=100/(1+0.01))となり、100万円ではありません。これは今99万円あればそれを預金して1%で運用すれば、おおよそ100万円になるという示唆し理論から成り立っています。

具体的には、10年満期で利息5万円を支払う債券の価格は、(モデルを単純化するために現在価値に割り引く際の割引率を)市場金利6%で計算すると約94万5千円となります。言い換えれば、市場金利が6%であるならば、現在94万5千円で購入した場合、年6%の利息(約5万7千円)と10年後の元本100万円を受け取ることで、6%のリターンを得ることができることを意味しています。

金利が低下した場合

逆に市場金利が4%に低下した場合、この5%の利息を支払う債券はより魅力的になります。新しく発行される債券は4%の利息を支払うため、投資家は5%の利息を受け取れる既存の債券を好むでしょう。結果として、既存の5%の利息を支払う債券の価格は上昇します。

具体的には、10年満期で利息5万円を支払う債券の価格は市場金利4%で計算すると約105万6千円となります。これは、現在105万6千円で購入した場合、年4%の利息(約4万2千円)と10年後の元本100万円を受け取ることで、4%のリターンを得ることができます。

このように、債券と金利の関係は逆相関にあり、市場金利の変動が債券の価格に大きな影響を与えます。

債券の種類

債券にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特性と利点があります。以下は代表的な債券の種類です:

国債 (Government Bonds)

政府が発行する債券で、最も信用度が高いとされています。国債は短期、中期、長期のものがあります。

  • 短期国債:期間が1年未満のもの(例:米国の短期国債(Tビル))。
  • 中期国債:期間が1年から10年程度のもの。
  • 長期国債:期間が10年以上のもの。

社債 (Corporate Bonds)

企業が資金調達のために発行する債券。国債に比べてリスクが高いため、通常は高い利息が設定されています。

  • 普通社債:定期的に利息を支払い、満期時に元本を返済する標準的な形態。
  • 転換社債:特定の条件下で株式に転換できる権利が付いた社債。

地方債 (Municipal Bonds)

地方自治体が資金調達のために発行する債券。国債に次ぐ信用度があります。

  • 一般地方債:全ての税収で返済する債券。
  • 特定地方債:特定のプロジェクトの収益を基に返済する債券。

高利回り債券 (High-Yield Bonds / Junk Bonds)

信用度が低い企業が発行する債券。リスクが高いため、高い利回りが設定されています。ジャンクボンドと称されることもあります。

変動利付債券 (Floating Rate Bonds)

金利が市場の変動に応じて定期的に見直される債券。市場金利が上昇すると利息も上がります。

ゼロクーポン債 (Zero-Coupon Bonds)

利息が支払われない代わりに、額面よりも低い価格で発行される債券。満期時に額面が支払われます。

外貨建て債券 (Foreign Currency Denominated Bonds)

外国の企業や政府が発行する場合もあります。

それぞれの債券には固有の特性とリスクがありますので、投資目的やリスク許容度に応じて選ぶことが重要です。

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